TikTokライバーの確定申告はいくらから?|税金・経費・扶養の基準

TikTok LIVEで配信を始め、ギフトによる収入が発生すると、気になるのが税金や確定申告です。「月に数万円しか稼いでいなくても申告が必要?」「副業なら20万円まで税金はかからない?」「親や配偶者の扶養に入ったまま配信できる?」と疑問を持つ人もいるでしょう。結論からいうと、TikTokライブで得た収入も原則として税金の計算対象です。ただし、収入が発生したからといって必ず確定申告が必要になるわけではなく、会社員として副業で配信する人と、ライバー活動を本業にしている人では判断の基準が異なります。この記事では、2026年(令和8年)分の税制をもとに、確定申告が必要になるライン、必要経費、扶養への影響を整理します。
01TikTokライブのギフト収入にも税金はかかる?
TikTok LIVEでは、視聴者からギフトを受け取ることで、配信活動に応じた報酬を得られる仕組みがあります。こうした配信による報酬は、原則として所得税の計算対象です。
ただし、税金の計算で重要になるのは単純な収入額ではありません。「収入」と「所得」の違いを理解することが大切です。
例えば、1年間の配信収入が60万円で、必要経費が15万円だった場合、所得は45万円です。税金や確定申告の判断に使うのは、この45万円のほうです。
- 年間収入:60万円
- 必要経費:15万円
- 所得:45万円
ただし、実際に所得税が発生するかどうかは、給与などのほかの所得や、適用される所得控除によって異なります。
また、TikTok上に表示されるギフトの金額やダイヤの数が、そのまま税務上の収入額になるとは限りません。プラットフォームや所属事務所との契約に基づき、自分に帰属する報酬額を確認する必要があります。
02副業ライバーは年間20万円を超えると確定申告が必要?
会社員が副業としてTikTokライブを行う場合、よく出てくるのが「20万円」という基準です。一般的に、会社で年末調整を受けている給与所得者は、給与以外の所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になる場合があります。
ここで注意したいのは、20万円というのは売上ではなく所得の金額だということです。
収入が20万円を超えても申告不要になるケースがある
会社員が副業でTikTokライブを行った場合を、収入と経費の組み合わせで並べると次のようになります。
このうち配信所得が20万円を超えるのは、下の2つです。給与を1か所から受け取り年末調整を済ませているなど、一定の条件を満たす会社員であれば、配信所得が20万円以下の場合は所得税の確定申告が不要となることがあります。
ただし、次の点に注意が必要です。
- ほかの副業所得があれば合算して判断する
- 給与の年収が2,000万円を超える場合などは別の基準がある
- 医療費控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も申告する
- 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合がある
「副業収入が20万円以下なら何もしなくていい」という理解は正確ではありません。20万円の基準は一定の給与所得者に認められる所得税の申告不要制度であって、税金そのものが非課税になる制度ではありません。住民税は別に確認してください。
03専業ライバーや学生の場合は20万円の基準が違う
TikTokライブを本業にしている人や、アルバイトなどの給与収入がない人は、会社員向けの20万円基準をそのまま使うことはできません。専業ライバーの場合は、年間の所得や所得控除などをもとに、確定申告が必要かどうかを判断します。
2026年(令和8年)分の所得税では、合計所得金額132万円以下の居住者について、基礎控除が104万円となります。そのため、ほかに所得がなく、基礎控除以外に特別な事情がない場合、配信所得が104万円以下であれば、原則として所得税は発生しません。
なお、この104万円は令和8年・9年分に適用される金額です。令和10年分以後は99万円となる予定です。
ただし、これは所得税の基本的な計算例です。住民税の非課税基準は異なり、加入している健康保険や扶養の条件にも影響することがあります。また、報酬から源泉徴収されている場合には、確定申告によって税金が還付されるケースもあります。
「所得税が発生しない」「確定申告が必要ない」「扶養から外れない」は、それぞれ別の判断です。どれか一つが当てはまったからといって、ほかも大丈夫とは限りません。
04TikTokライブの配信費用はどこまで経費にできる?
配信活動に必要な支出は、税金を計算する際の必要経費として認められる場合があります。ただし、配信に少しでも関係していれば何でも経費にできるわけではありません。国税庁は、収入を得るために直接必要だった費用や、業務上必要な費用などを必要経費として説明しています。
ライバーが経費として検討できるもの
特に注意したいのが、スマートフォンや通信費など、私生活でも使用しているものです。例えば毎月8,000円の通信費を支払っていたとしても、その全額が自動的に経費になるわけではありません。私用と配信用の利用実態を区分し、合理的に説明できる金額を計上する必要があります。
また、高額なパソコンや機材などは、購入した年に全額を経費にできず、減価償却などの処理が必要になる場合があります。衣装や美容代についても、普段の生活でも使うものを一律に経費にすることは適切ではありません。
領収書や報酬明細は保存しておこう
配信活動で支出した費用については、領収書や購入履歴を保存しておくことが重要です。また、受け取った報酬についても、月ごとの金額や入金日、支払元を記録しておきましょう。
確定申告の時期になってから1年分を調べ直すよりも、毎月整理しておくほうが負担を減らせます。
05TikTokライブで稼ぐと親や配偶者の扶養から外れる?
学生や主婦・主夫のライバーが特に注意したいのが、扶養への影響です。扶養には大きく分けて2つあります。
この2つは判断基準が同じではありません。片方の条件を満たしていても、もう片方から外れることがあります。
税金上の扶養は所得額で判断する
2026年(令和8年)分の所得税では、一般的な扶養親族に該当するための所得要件は、年間の合計所得金額62万円以下です。配信活動による所得がこの金額を超えると、親などが扶養控除を受けられなくなる可能性があります。
ただし、19歳以上23歳未満の親族には、所得に応じて適用される特定親族特別控除という制度もあります。また、配偶者については配偶者控除や配偶者特別控除があり、一般的な扶養親族とは扱いが異なります。そのため、「年間62万円を超えたらすべての扶養がなくなる」というわけではありません。
社会保険の扶養は別に確認が必要
社会保険上の扶養では、一般的に年間収入130万円未満が基準の一つとなります。ただし、年齢などによって異なる基準が適用される場合があります。
また、配信収入のような給与以外の収入については、健康保険の保険者ごとに収入の確認方法や経費の取り扱いが異なる場合があります。所得税でいう「収入から必要経費を引いた所得」と、社会保険上の扶養判定に使われる収入が一致するとは限りません。
親や配偶者の扶養に入っている場合は、配信収入が増える前に、加入先の健康保険や勤務先へ確認しておくと安心です。外れてから気づくと、さかのぼって保険料を求められることがあります。
06確定申告はいつ、何をすればいい?
個人の所得税は、原則として1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、翌年に確定申告します。2026年に得た配信収入について確定申告が必要な場合は、原則として2027年の確定申告期間に手続きを行います。
基本的な流れは次のとおりです。
- 1年間の配信報酬を集計する
- 配信活動に必要だった経費を整理する
- 所得金額を計算する
- 給与など、ほかの所得や所得控除を確認する
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで申告書を作成・提出する
- 納税が必要な場合は期限内に納付する
確定申告は税務署の窓口だけでなく、e-Taxを使ってオンラインでも手続きできます。
なお、副業ライバーの所得は一般的に雑所得に該当することがありますが、事業規模や活動実態などによって事業所得に該当する場合もあります。「ライバーなら必ず雑所得」「収入が一定額を超えたら自動的に事業所得」というものではありません。判断が難しい場合は、税務署や税理士に確認してください。
07ライバーが税金についてよく疑問に思うこと
月1万円程度の収入でも税金はかかりますか?
月1万円なら年間収入は12万円です。実際に所得税が発生するかは、給与などのほかの所得や必要経費、所得控除によって異なります。副業であれば20万円の確定申告不要制度に該当する可能性がありますが、住民税の申告が必要になる場合もあります。
TikTokから銀行口座に出金していなければ税金はかかりませんか?
出金していないことだけを理由に、税金の対象外になるとは限りません。税金上の収入を計上する時期は、報酬を受け取る権利がいつ確定したかなどによって判断します。実際の入金日だけでなく、報酬の確定時期や取引条件も確認する必要があります。
事務所に所属している場合、確定申告は不要ですか?
事務所に所属しているだけで確定申告が不要になるわけではありません。事務所との契約が業務委託なのか雇用なのか、報酬がどのように支払われているかによって扱いが変わります。所属先が報酬を管理していても、本人が確定申告を行う必要がある場合があります。
確定申告をしないとTikTokや事務所に分かりますか?
TikTokや事務所が申告状況をどこまで把握できるかは、契約や情報管理の仕組みによって異なります。ただし、税務署は支払記録や取引情報などを通じて収入を把握する場合があります。申告義務があるのに申告しなかった場合は、延滞税や無申告加算税などが発生する可能性があります。
08配信を始めたら、収入と経費を記録しておく
TikTokライブで収入を得るようになったら、早い段階から税金について理解しておくことが大切です。特に覚えておきたいのは、次のポイントです。
- TikTokライブの報酬も原則として税金の計算対象になる
- 会社員の副業では、一定の条件で年間所得20万円が確定申告の判断基準になる
- 専業ライバーに会社員向けの20万円基準をそのまま適用することはできない
- 配信に必要な費用は経費として認められる場合がある
- 所得税と住民税、社会保険の扶養はそれぞれ確認が必要
税金の仕組みは複雑ですが、まずは毎月の報酬と必要経費を記録することから始められます。収入が増えてから慌てることのないように、配信を続けながら管理する習慣を身につけておきましょう。
BIJON LIVEでは、報酬の受け取り方や契約の内容について、所属前にマネージャーが個別に説明します。税務上の判断そのものについては、税務署または税理士にご確認ください。
09参考にした資料
- 国税庁「No.1904 給与所得者と電子申告」
- 国税庁「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」
※本記事は2026年10月時点の公表資料に基づく一般的な税務情報です。個別の申告義務や所得区分、経費の取り扱いについては、税務署または税理士にご確認ください。
